第9回日本ラブストーリー大賞 2次選考あと一歩の作品(3)
愛のような日々/釜田雅彦
外資系コンサルティング会社の美人副社長、絵美と、コンピューターメーカーの営業課長、高氏は、大手タイヤメーカーのコンペで二十年振りの再会を果たす。彼らは高校の同級生で、当時、二人は惹かれ合っていたが、ささいな思い違いで喧嘩別れし、その後、絵美はアメリカに留学してしまっていた。コンペと向き合いながら、お互いに知らなかった過去が徐々にわかり、二人はまた惹かれ合うようになるが――。
今回、もっとも評価が分かれた作品のひとつです。20年前のIT用語など、ビジネスの専門用語が多く出てくるため、とりわけ女性陣からは「読みづらい」「わかりづらい」という意見が出ました。
反面、「原始IT業界の裏話を描いた完璧な作品」と評する選考委員もあり、解説をもとに読み直せば優れた企業小説として押し出せるのでは、という意見もあがりました。
最終的にはおもしろさ以上に読みにくさが勝るという意見が多く、残念ながら通過には至りませんでしたが、ビジネス小説としての出来はもちろん、ジョブズやゲイツ以前のIT業界の貴重な証言としてかたちに残したという意見も最後まで残りました。