あと一歩【14】

人魚姫と海賊王子/遊佐

あらすじ&選評

王子との恋に破れ、大海の泡となるはずだった人魚姫のミレーヌは、なぜか海賊船の船長ラミレスの部屋で目覚める。命を助けてもらったお礼として彼の身の回りの世話をすることになるミレーヌ。横暴で身勝手だが時に紳士的なラミレス。ミレーヌは彼に惹かれていく。そんな時、ラミレスは某国の第一王子で、一族の会稽を遂げるために海賊になった男だと知る。ミレーヌが海の泡とならなかったのは、王子ラミレスに助けられたからだったのだ。一族の敵との決戦の日、人魚に戻ることを切望する姉たちを振り切り、敵と共に海に落ちたラミレスを助けるミレーヌ。二人流れついた岸で会ったのは、初恋の王子だった……。 

報われなかった人魚姫の悲しい恋物語は、船から身を投げた後、別の王子に助けられたことでお話が続いていきます。童話の世界観をそのままに、確かな文章力で読み手の心をしっかりと掴みます。少女漫画のような登場人物の言動は、女性をきゅんとさせるのかもしれませんが、一方で男性読者は受け入れづらいものかもしれません。男女問わず読まれる作品を目指し、再挑戦していただきたいです。