あと一歩【11】
ブレイクダウン/岡安木綿
あらすじ&選評
ニューヨークにて、世界的金融グループの重役であるピーター・デュカキスが交通事故で記憶障害に陥る。秘書であるマイケルがデュカキスに代わって彼の使用電話に対応すると、日本人の見知らぬ若い女性から「お金が振り込まれていない」という連絡が入る。記憶のないデュカキスに代わって、その女性を訪ねに来日するマイケル。その女性=土田真衣は偶然にも自分の兄=甲斐努をストーキングしていた女性だった……。
“ピーター・デュカキスと土田真衣の謎の関係”を軸に、話がぐいぐいと進んでいくリーダビリティの高さを買いました。当初、一方的だった真衣と努の関係性の変化もリアリティあるタッチで描けています。惜しむらくは、“デュカキスと真衣の関係”が予測できてしまった点。謎がメインの話ではないですが、真相を引っ張ったわりには少し肩透かしを食らってしまった点が残念に感じました。次回作に期待します。