あと一歩【8】

プレーリーハタネズミの恋/小原美智子

あらすじ&選評

生殖行動の一環に過ぎない恋愛に人生を振り回されるなんて愚かなこと。まして、恋愛ごときで人生を踏み外すなんて、もってのほか。大学准教授の葛木恭一郎は恋愛を抑制する薬の研究をしていたが、間違って惚れ薬を作ってしまう。そして、ゼミの学生でおバカキャラの若田香織が恭一郎に惚れ薬を飲ませてしまい、16歳も年下の香織に恋をして……。

高慢で堅物の恭一郎が香織に夢中になっていく王道のラブストーリー。恭一郎が専門とする認知神経科学と香織の深刻な睡眠障害のつながりがもっと切実なものとして描かれていると、香織の健気さ、恭一郎の切なさが際立ったと思います。