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- 『ラブ・インストール』 御神崎 知佐琳
- あらすじ
- リンコは神戸の病院で多忙な毎日を送る整形外科医。病院と家の往復で恋人を探す暇もなく、あまりの忙しさに体調を崩してしまった。一週間の療養後、気分転換も兼ねたひとり旅を計画して沖縄に向かう。初めて訪れた石垣島でレンタカーを借り、島を案内してくれたタツヤと意気投合するが、彼には別居中の妻がいた。お互いに強く惹かれ合うものを感じつつ、石垣島と神戸で友達としての電話のやりとりが始まる。
一方、リンコは親のすすめで見合いをして、見合い相手の医師・リョウタの洗練されたアプローチに心が揺れてしまう。「忙しくて恋愛どころじゃない。奥さんが欲しい」というのが口癖で、自分の心の声に鈍感だったリンコに変化が訪れたのは、ある人の言葉がきっかけだった……。
- 評価・感想
- 仕事も恋愛も自分らしく、欲しいものは何でも手に入れたいというアラサー独身女性の共感を得られそうな恋愛小説。「仕事に没頭しすぎて、恋する力が落ちて、恋愛のプログラムを再インストール中」と、恋を渇望するヒロインを実際に医師である筆者がいきいきと描いているところに好感が持てました。
石垣島で出会ったタツヤの、日に焼けた精悍な佇まいと飾らない人柄に惹かれつつ、開業医の息子で優しく洗練された(色白な)消化器内科医のリョウタの積極的なアプローチにもときめいてしまうという、女心をくすぐる軽妙な筆致にも遊び心が感じられます。
映画化もされた『食べて、祈って、恋をして』(エリザベス・ギルバート著)は、離婚したヒロインが傷心を癒すために旅に出て、ありのままの自分を見つけ、人生を楽しむことに目覚めていくという自分探しを描いた世界的ベストセラー。この物語の主人公・リンコもまた旅によって正直に生きることの大切さに気づき、人生を見つめ直します。日常では見つけられない本当の自分を探す女性のための本作品。気になったのは、医療崩壊について「立ち去り型サボタージュ」「燃え尽き症候群」に触れている箇所はありますが、救急病院の現場は過酷で医師としての苦悩は切実であるはず。ふたりの男性のあいだで葛藤する部分もサラリと流れてしまっているため、それらをもっと深く掘り下げることで、主人公の強さ(したたかさ)がより出たのでは?とは思いました。