• 『それでも私を愛してくれますか』 河野 裕治
  • あらすじ
  • 克己は結婚間近と思っていた美由紀から、いきなり別れを告げられた。 数日後、克己は「ヘヴンズガール」という店のチラシをみつける。そこでは、コンピュータが映し出す女の子と会話したり触れたりできるという。失恋から立ち直れない克己は、「ヘヴンズガール」に行き通い始める。コンピュータが映し出す女の子は、実際の女の子となんら変わらない。おかげで失恋から立ち直ってきた頃、克己は「ヘヴンズガール」に新しい女の子が入店したと聞く。写真で見せられたその女の子は、なんと美由紀にそっくりだった。克己は店で美由紀と名乗る女の子に会う。たしかに美由紀本人だが、実際にはこれはコンピュータに映し出された映像だ。いったい、何が起きたのか?店の美由紀と付き合ううち、この店のしくみと美由紀との別れの原因が明らかになる。
  • 評価・感想
  • 失恋した男性の様子や気持ちがひしひしと伝わり、冒頭から引き込まれました。バーチャル・リアリティを使ったSFタッチのラブストーリーは新味があり、かつ幻想的。丁寧に描かれた店の様子にも設定や細部に説得力があり、非常にリアル。謎めいた世界と克己がどう関わっていくのか。美由紀のそっくりさんの正体は?と、読み手に謎を次々与える展開、それをすとんと納得のいく形で収束させていくあたり、かなりの力量を感じさせる構成です。悲しいけれど、温かい気持ちになれるラストにも唸りました。
 
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