あと一歩【3】
女神様をさがして/宇佐美游
世間体第一の母の期待に縛られる土屋遼平32歳。フリーライター3年目で人気雑誌「ウルフ」の記事を任されるようになったもののイジメに遭い、二度と働かないことを決意した。「養って」と頼み、彼女にも振られる。そこで養ってくれる女性を紹介する『3号塾』に入会する。専業主夫をめざし、減量し、プチ整形し、美に投資する男たち。遼平の最初のお試し同棲派遣先は南青山の豪邸で、令嬢・麗実は超肥満体の醜女だった。地獄の子作りの果て、遼平はメイドに手を出して追い出されてしまう。次の派遣先は年収2千万円の櫻子43歳。美人だが横柄で遼平のことを下男扱い。あまりにも見下されて遼平は自ら家を出る。三番目は鎌倉の小学校教師・星出奈津37歳。地味で普通すぎて物足りなさを感じるが、深く安定した愛情を示す奈津に、遼平は真に愛することを学び、仲の悪い両親とは違う異性との付き合い方を初めて知るのだが……。
「面白かった」という意見が多く集まり、ユーモアのバランスも良く、作者のセンスが光る作品でした。しかしながら、魅力的なモチーフであるがゆえの、設定負けを感じざるを得ないという意見も多数。雑誌編集部の雰囲気や、陰湿なイジメなどは面白く読める一方で、全体に占める「グチっぽい部分」の割合がやや多過ぎるため、結果的に読み疲れてしまいます。枚数の多さを筆力で読ませるだけの実力はあるからこそ、次回作は必要最低限の要素で構成することに挑戦して欲しいです。