二次通過【3】

『由比ヶ浜・ホテル・シーサイド』/藤野まり子

鎌倉で内装職人として働く小沢和美のもとに、新人設計士の河村公平という男性が訪ねてくる。公平は由比ヶ浜の廃ホテル『ホテル・シーサイド』の改装を和美にお願いするが、そこは長いあいだ“呪いのホテル”として地元の人々から厭われてきた場所だった。しぶしぶ改装に着手した和美だったが、同じころ、自分を育ててくれた祖母の絹江が余命わずかと宣告され、妹の桃子が突然外国に嫁ぐと言い出す。家族がバラバラになることに不安を感じる和美。はたしてこれは『ホテル・シーサイド』の呪いなのだろうか――。

選考委員の中でも特に男性票が高かった作品です。モノ作りを題材にした作品はとても清々しく、キャラクターたちにも血が通っているところが評価されました。ただ、最後の展開が急過ぎることと、ショッキングなオチは改稿対象。恋愛ストーリーもやや演出過多であるため、ある程度の削ぎ落としが必要ですが、作品全体に漂う爽快感と、「単純に面白かった」という意見が集まり、通過となりました。