第9回日本ラブストーリー大賞 1次選考あと一歩の作品(11)
『堅物サンタと、不機嫌な白衣のトナカイ』/中川 つちか
あらすじ&コメント
自他ともに認める堅物人間の僕は大学の友人に誘われて合コンに参加する。合コン相手は看護師さん。かわいらしい白衣の天使たちに混じって、一人だけ不機嫌な顔でビールを飲みながら軟骨の唐揚げをバリバリと食べている望月さんと出会う――。
正義感が強く、一本気な望月さんと、純粋でちょっと頑固な大学生の僕とのやりとりはテンポよく、まるで夫婦漫才のよう。二人の心の距離がどんどん近づいていく様子が滑らかに描かれていました。ただ、初デートに金属バットを持って現れ、バッティングセンターデートで彼の心の傷を治療するというマイペースな望月さん。誤解されやすい彼女の魅力を亡き母のエピソードで説明しているのですが、見せ場を作ろうとする意図が裏目に出てしまったのが残念。