第9回日本ラブストーリー大賞1次通過作品(18)

『幸せな未来(あした)』/B*sami 

 あらすじ 

鳴沢麻子は都内の総合病院で働く35歳の勤務医。現在の仕事に満足していたが、恋人の修人が闇金で多額の借金をして返済に困り、院長の娘婿で病院の事務長からの依頼で資産家・黒瀬家のホームドクターとして芦屋に赴く。黒瀬家の若き当主、黒瀬琢磨には20歳の弟の悠磨がいて、弟に自傷癖があるという。麻子の仕事はこの弟の治療と看護だった。地図にも載っていない、携帯の電波も届かない不思議な屋敷のなかで、火傷を負った悠磨が予言めいたことを口走っているのを聞く麻子。好奇心旺盛な麻子は、黒瀬家の不思議な現象に巻き込まれて……。

評価・感想 

女医として仕事ができるのに男運が悪い主人公の麻子。面倒見がいいので、借金を抱えて甘える恋人を放っておけず、桁外れの報酬を提示されて住み込みで勤務することになるけれど、当主で長男の黒瀬琢磨も、自傷癖のある弟の悠磨も明らかに何かを隠していて、その謎を解きたいと一人奮闘する姿は最後まで読み手を引きつけます。ミステリアスで人を寄せ付けない悠磨が少しずつ麻子に心を開いていく過程も丁寧に描かれていました。

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