第9回日本ラブストーリー大賞1次通過作品(7)

『女税』/島 左子 

 あらすじ 

外見にコンプレックスを持つ楓は、妬みの一心でイケている女子から〈女税〉を徴収している。クラス一のモテ女子に彼氏からの偽手紙を出して別れさせたり、人気女講師のストールを切ったり。イケ女しかチヤホヤしない合コン男子から多めに参加費を徴収することもしばしばだ。しかしそんな楓に転機が訪れる。アメリカ留学を経て男ができ、逆に〈女税〉を徴収される立場になったのだ。かつての報いのように、仕事を奪われ、その身に危険の迫った楓の出した意外な答えとは――?

評価・感想 

いま波がきている暗黒女子小説。主人公の性格がほんとーーーーに人として最悪で、中二病をひきずった女性特有のいやらしさを照れたり手控えたりせずに描いているところに、可能性を感じました。会話に改行を入れない独特の文体も不安感を煽っています。途中から〈女税〉を徴収される立場になってこのまま普通の人になってしまうのかなと思いきや、最後の対決はかなりサイコホラー的展開で楽しめました。

視点をなるべく統一したほうがいいです。とくに冒頭の若菜の視点はいりません。できれば滝川や伊藤の視点もなくして、楓に統一したほうが、読みやすく、閉塞感のある怖さがますのでいいのではないでしょうか。

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