第一次選考あと一歩作品

『エンドレス・ラブストーリー』 近安とも子


選評

 交通事故によって記憶喪失になったリオンは、回復後も1年ごとに記憶喪失をくり返す異常体質になっていた。それでも彼女は容姿が似ている男性と、1年ごとに取っ替え引っ替えの恋を続ける……。
 記憶喪失を扱った作品は数多くあるが、この作品の「記憶が1年ごとにリセットされる」という設定はユニーク。ただ、記憶がなくなりそうになるたび恋する男に別れを告げるヒロインの心理はよくわからないし、「運命の人」である拓海がなぜ回りくどい手段でリオンと再会しなければならなかったのかもよくわからない。大事なことが解決されていない印象を受ける。この作品は、「運命の人」が、容姿や見た目の雰囲気などの「外見」で決まるのか、それとも本質的な部分でつながっているのかという問いがテーマになっていると思うが、納得のできる解答に達していない。
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