第一次選考あと一歩作品
『エターナル・ガーデン』 中谷睦
選評
私立女子高「白薔薇学園」を舞台に、大嫌いだった英語の先生にいつのまにか恋心を抱くようになる主人公と、彼女をとりまく友人たちの青春をテンポのよい文章と会話で描いた完成度の高い作品です。
しかし、問題は2点。まず、メインストーリーの生徒と先生の恋は、これまでどれだけ多くの作品(映画やマンガも含めて)が描いてきたモチーフでしょうか? 青春恋愛小説の定番のひとつに挑むには、どこかで読んだぞと読者に思わせないだけの工夫が必要です。もうひとつ、主人公の性格づけが高校生という設定にしては幼すぎるのではありませんか。舞台を中学校にしてもそのまま通用しそうです。物語を語る力は充分にある優れた書き手と思いますので、テーマや人物像の掘り下げにもう一歩の努力がほしいと思いました。
→ 一覧に戻る