第一次選考あと一歩作品

『ぼくらのいびつな求愛ダンス』 松田京子


選評

 かわいい幼なじみの花恋にずっと強い恋心を抱いている稔。惚れた弱みか、わがままで奔放な花恋にいつも振りまわされている。肝心の花恋は稔に気がないようで、ほかの男と付き合っては失恋、を繰り返す。そんなある日、稔はとっても美人な先輩から声をかけられ、誘惑に負けて寝てしまう。ここから花恋と稔と先輩の奇妙な三角関係が始まる……。
 少女マンガを読んでいるようなキュートで淡くせつない雰囲気を持った作品です。独自の世界観のつくり方や、状況描写もうまい。非常に筆力のある方だと思います。惜しむべくは、最初の盛り上がりに比べて、スト―リーがだんだん弱くなってしまったこと。“幼なじみもの”はよく書かれるテーマなので、どうしてもありがちな印象を受けてしまいます。それを払しょくするようなインパクトのあるエピソードが加わると、ぐっとおもしろくなったと思います。

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