第一次選考通過作品詳細

『針槐(ハリエンジュ)』 藤原あずみ

 陶芸家の仁科サチの夫、孝之は白馬岳で滑落事故に遭い新婚3カ月で植物人間となった。事故当時、すでに身ごもっていたサチは娘の彩を産むが、義母が彩を溺愛。サチは妻としても母としても婚家に居場所がなく、逃げるように陶芸家としての自立を目指していた。


評価・感想

 文章の完成度がとても高く、冒頭の仁科サチの子ども時代のエピソードからぐいぐい物語に引き込まれます。色や風景の描写も美しく、印象的です。教え子の死はサチが「母」の自覚を持つきっかけになっているので、娘の彩とのエピソードを前半でしっかり読みたいと思いました。

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