第一次選考通過作品詳細

『雨の日に螺旋階段で』 塔野由羽

 リオは30歳のときに、螺旋階段があるメゾネットタイプのマンションを購入した。螺旋階段のある家に住むのは子供のころからの憧れで、それを物件選びの第一条件とし、35年ローンで手に入れた。住み始めて3年経つが結婚の予定はなく、6年付き合っている彼に結婚願望はなかった。


評価・感想

 理想が高く、生真面目なリオ、依存体質で外見磨きに余念がない可奈子、そして傷つくことを恐れて自ら都合のいい女を演じているユイ。20代、30代の女性のリアルな恋愛観が綴られていて、妙齢の女3人が同じ家に住み、家族のような絆で結ばれていく様子が洗練された文章で描かれています。どの香水を選ぶかで恋人に会うことをかぎつけるなど、程よい距離を保ちながらもお互いの内面を探り合う描写が巧いです。

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