第二次選考あと一歩作品詳細

『針槐(ハリエンジュ)』 藤原 あずみ

 『針槐』は、植物人間となってしまった夫を持つ陶芸家の仁科サチが、個展の会場で出会った記者の楢原に惹かれつつ、葛藤するさまを描いた大人の恋愛小説。
 「苦労の多い生活のなかで成長していく女性の姿が優しい視点で描かれていて、好感が持てる」、「安曇野の風景や食べ物がみずみずしく描かれている」、「プロの作家並みに完成されている大人の正統派恋愛小説」、「小道具や教養、舞台の使い方がすばらしい」、「タイトルが印象的」等、作品の完成度の高さを賞賛する声が集まりました。
 いっぽう、「内容に新鮮味が感じられず、作者の個性も出ていない」、「時代背景は現代のはずだが、人物像がいささか古めかしく感じられる」、「技術点は高いが、既存の小説の枠から抜け出せていない」等、小説としての新鮮さやオリジナリティに欠ける部分を問題視する声も多く、通過には至りませんでした。

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