第二次選考通過作品詳細

『ベアトリーチェ』 葉山 白心

 『ベアトリーチェ』は、15歳のときに好きになった鳥羽晟のことが忘れられず、35歳まで誰とも付き合ったことがなかった立浪飛鳥が、勤め先の中学校で彼の息子・遠野樹から想いを告げられ、葛藤するさまを描いた物語。
 飛鳥の独白的な展開には、「主人公の独りよがりに見え、共感と好感を持ちにくい」、「飛鳥のセリフが若干理屈っぽく感じる」、「主人公を客観視して描き切れていない」等、厳しい意見もありました。
 反面、飛鳥に共感を覚えた選考委員も多く、「まるで韓流ドラマのような展開だが、リーダビリティが高く、ラストまで一気に読んだ」、「分別ある大人が枠を踏み外しかけるアンバランスさを巧く描いている」、「自分で自分をコントロールしきれない、ブレたところに共感する」等、主人公の独りよがりにどこまで共感できるかについて賛否両論の議論を経たうえ、一途な愛のかたちを描き切れている点を評価したいという意見にまとまり、通過作品となりました。

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