第一次選考通過作品詳細

『愛(かな)し 』 千梨 らく

20歳の春陽は、5歳のころから一の瀬岳に片想いをしていた。その異常なまでの執着ぶりは、彼が姉の夫となってからも褪せなかった。そんな春陽はふとしたことから「惚れ草」の存在を知る。それは煎じて飲ませた相手の愛を得ることができるという草だった。


選評

現代の物語ながら独特のクラシックな文体に引き込まれました。「惚れ薬」や「惚れ草」といった幻想的なモチーフを用いているにも関わらず、ファンタジーに 走らず、リアルな恋愛小説として楽しめました。主人公が自分の想いが「愛」ではなく「エゴ」であったと気づくあたりの流れも、非常に巧みだと感じました。

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