第一次選考通過作品詳細

『たいくつな恋』 浅春 かなた

10年に及ぶ交際を経て剛史との結婚を控えた葵。その葵の元に一人の男・高宮春が現れ、葵は恋に落ちる。しかし、春は葵の結婚相手・剛史に復讐するために彼女に近付いたのであった。その事実をも受け入れ、自分が傷付くことで、自分が春を愛することで、春の傷を癒そうとする葵。だが、葵の愛は春には届かず、葵にできることはただただ春の復讐を受け入れることだけであった。復讐を遂げた春は目的を失い、復讐劇を繰り広げる以前とは全く違う虚無感に苛まれるようになる。新たなる痛手により自殺をも考えるようになる春。そんな彼を救った出来事とは……。


選評

今を生きる若者の苦悩を描いた、鋭い感性を持った作品。現代社会の「生き辛さ」を克明に描いており、多くの共感を得られる可能性を持つ。復讐劇を繰り広げる高宮春の人物像は作り過ぎの感があるが、この作品の実質上の主人公として存在感を出すという点では成功している。

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