第一次選考あと一歩作品詳細
選考委員:久次 律子
『渇いた太陽』 水上竜士
タイムトラベルと輪廻転生が交錯する複雑な設定なのに、全体的にとてもよく整理されていて、カラクリを紐解く楽しさを味わうことができました。心情表現がもう少し深みがあれば、もっとバランスがよくなるように思います。
『涙の海に溺れて』 川面輝季
叙情感あふれる筆致にぐいぐいと引込まれました。キャラクター作りがうまく、悲しみのどん底にいながらもさわやかさや温かさが感じられました。たたみかける不幸な出来事をもう少し整理するとメリハリが出るように思います。
『CLOSE』 赤
パラレルワールドの形式を取っているため、どうしても重複が気になってしまいましたが、友情や愛情をとても丁寧に描写していて筆力を感じました。祖納元という目の悪い男子高生が自分自身を見つめるシーンは独特の世界が広がっていてキャラクター作りの才能を感じさせるものがありました。
『四季』 凪
文章に四季の季節感がしっとり伝わる上品さがありました。季節によって完成度のばらつきがあるのが残念ですが、二部の夏では設定が工夫されており、見えないパズルが最後に気持ちよくまとまり、爽快な読後感でした。
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