第三次選考通過作品詳細
『埋め込み式。』 佐々木 やち
捕らえた「彼女たち」を「逃がしてあげる」といいながら、自殺を促し殺してゆく「彼」。「彼女」を最後の一人として生かしておきながら共犯者に仕立てるが……。「忘却」は、繰り返される毎日のためにある。二度と忘れられない思い出は、忘却から逃してやるようにそっと隠される。殺人と忘却の幻想曲。世界が代謝を図った瞬間を描いた究極のラブストーリー!
書店員評
今回、第三次選考で読ませてもらった作品の中で、特別インパクトを感じた作品。他の作品がラブストーリーとしての完成度の高さを感じさせる一方、この作品だけは、むきだしの男と女の姿を描ききったという感じがしました。「彼女たち」を「逃がしてあげる」といって次々と殺していく謎の主人公。こういう男性に出会ってみたいと感じている自分にビックリ。
(紀伊國屋書店/白井恵美子さん)
ラブストーリーとして見るとどうかと思いましたが、殺人のシーンの描写、文章力は巧いと感じました。15歳とは思えぬ力量。タイトルのセンスも良いです。
(ブックファースト/八木岡由香さん)
「10代作家」というのは最近のトレンドだけど、この作家は他の「10代作家」と並べても、十分に勝負できる力量を感じました。他の作品も読んでみたい。
(丸善/上村祐子さん)