第三次選考通過作品詳細
『カフーを待ちわびて』 原田 マハ
舞台は沖縄の離島・与那喜島。雑貨商を営みながら淡々と暮らしている友寄明青(35)は、ある日、「幸」と名乗る女性から思いがけない手紙を受け取る。明青が旅先の神社に、ほんの遊び心で残した絵馬の言葉、「嫁に来ないか」を見て、結婚したいというのだ。そして3週間後、幸が現れ、明青の家に住み込んでしまう。戸惑いながらも、溌溂とした幸に思いをつのらせる明青。折しも島では、リゾート開発計画が持ち上がっていた。明青は反対する少数派のひとりだったが、幸が一緒なら新しい生活に飛び込んでいけると思い、一大決心をする。しかし幸には、明青に打ち明けていない秘密があった——。
書店員評
小説としてあまりにまとまり過ぎているので、思わずあら探しをしたくなるほど(笑)。強いて言えば、「沖縄」という題材に新しさを感じないのと、ストーリーの先が読めてしまって驚きがない点がマイナス要素でした。
(紀伊國屋書店/白井恵美子さん)
カフーというのは、沖縄の言葉で「果報」「幸福」という意味だそうですが、読み終わったあとには読者の私の心の中にもカフーがやってきたような気がする、そんな爽やかな読後感が印象的です。もし、この作品が書籍化されるとしたら、地味ながらも、ジワジワと口コミで売れそうな本になりそうな気がします。
(ブックファースト/八木岡由香さん)
登場人物のキャラクターがしっかり書き分けられているので、映像喚起力も十分。地味ながらも安心して楽しめる作品。
(丸善/上村祐子さん)