第三次選考通過作品詳細
『SONOKO』 片栗子
舞台は第二次世界大戦前後の日本。祝言の初夜で男尊女卑の屈辱的な扱いを受けたためその足で実家に戻った園子は、外交官の父について渡米する。日本文化を学ぶメアリーと仲良くなり、彼女の弟で、軍隊を退き飛行機スクールを経営するマークと出会う。一瞬の反発の後、自分の意思表示をはっきりする園子にマークは惹かれ始める。初めてのフライト体験で飛行機に興味を示した園子に、マークはパイロットになるための手ほどきをし、彼女はめきめきと才能を発揮していく。太平洋戦争が始まり、園子は帰国するが、マークの子どもを宿しており、産む決意をする。出産後、園子は空軍のテストパイロットの仕事を引き受ける。機体を操縦して、山本五十六率いる軍に追いつく途中、アメリカの航空部隊に遭遇。その飛行機にはマークが乗っていた……。
書店員評
戦争という舞台設定は重すぎるかなとも思いましたが、読みすすめるにつれ、ラブストーリーに重みを加える機能を果たしているんだなと納得しました。女性好きのするオーソドックスなラブストーリーながら、幅広い読者の興味を引くことのできる作品だと思います。
(紀伊國屋書店/白井恵美子さん)
また、女性パイロットという作者自身の経歴のおかげか、たびたび出てくる飛行シーンには躍動感があって、「これを映像で見てみたい!」と思わせるものがありました。
(ブックファースト/八木岡由香さん)
まさに安心して楽しむことができる大河ドラマという印象。これを、現役パイロットが書いたというところに意味がある!
(丸善/上村祐子さん)