第一次選考通過作品詳細

『ラブレプシー』 小島 有紗

恋をすると胸が痛くなる奇病「ラブレプシー」に侵された東京。
ホストである主人公のシンイチはしかし、未だに胸が痛くなったことがない。
そんなシンイチの前に現れた自称・エムは、Mだけにシンイチに尽くそうとする。尽くされても未だ、「ラブレプシー」にはかからないシンイチだったが、生活を共にするうちに徐々に胸に痛みを覚えるようになっていく。
そんな中、「ラブレプシー」はウイルス性のものだと判明する。それを知ったシンイチは、エムにも教えるが、そのときからエムの様子がおかしくなり始める。エムは「ラブレプシー」に対抗するワクチンとして存在していたのだ。


選評:ボブ内藤

「恋患い」を、「ラブレプシー」という具体的な疾患として設定したところが何よりおもしろい。その病にかかったことのない主人公の職業は、ホスト。だが、短い作品だけに、その面白い設定を生かしきれていない感もあり。ラブレプシーが精神病だというところから感染性のウィルスだと判明するくだりはもう少し説明が欲しかったし、ラストのダジャレオチも消化不足。同じ設定でじっくり練りこんだ作品を読んでみたい。

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