第一次選考通過作品詳細

イン・ザ・ネイム・オブ・ラブ』 福咲 しず

長年、義理の祖母と二人きりで暮らして来た介護福祉士のサユミは、その祖母までもが亡くなり、とうとう天涯孤独となる。仕事も辞め、アパートも引き払い、 流れ込んだ先は、幼なじみの湧介が住むマンションだった。そこでは、漫画家の臣弥を含む湧介の友人たちが雑居生活をしていた。住み込み介護人の面接で出 会った寝たきりの若い女性、彩乃との触れ合いを通して、また、湧介の姉から聞かされた自分の忘れていた過去を思い出すにつれ、湧介が「本当に大切な人」で あることを意識し始める。
やがて姉が契約をしていたマンションの賃貸契約の期限が迫り、雑居人達は、それぞれの新しい道を進んで行く。これをきっかけに二人は、「いちいち約束や心配をしなくてもいい、必ず二人が帰って来られる場所を一緒に作ろう」と約束を交わす……。

選評

何か大きな事件が起こる訳ではなく、エンターテイメント作品とはほど遠いが、作者の人間を見る優しい視点が新鮮で、不思議な空気感のある作品。
不器用がゆえに、人生に迷いながら生きている主人公たち、愛すべき周りの友人たち、どこかに存在するであろうその空間を想像しながら……、映画を1本観た 満足感があった。何気なく飛び交う会話の中に、とても重みのある言葉が存在する。すんなり心に入り込んで来て読みやすいセリフまわしや文体などは、完全に 自分の好みかもしれないが、若い女性に読んでもらいたい1本。

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