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『テネシーワルツ』 木林 森
昭和30年代の日本の田舎町。泥棒の嫌疑をかけられて怒った耕介少年は、遊び仲間三人と少年探偵団を結成する。犯人を捜して森に入った三人は、そこで年上の美しい少女に出会う。空腹で盗みをはたらいたと白状する彼女のために、三人は少女のために食べ物を運び、交友を深めていく。やがて耕介たちは少女がなぜ森に隠れていたのか知り、彼女を守ろうとするのだが、探偵団のひとりが親の気を惹くために密告し、あえなく彼女は警察に捕まってしまう。
- 三村
これはヒロインがダメでしょう、と思いました。花の使い方とかフックはいいんだけれど、ヒロインの魅力が圧倒的になくて、何で好きになったのか、ただお姉さんだから好きになったのか、というだけで。
- 神田
だけど初恋ってそういうものでしょう。
- 諏訪
この作品にはすごく気になるところがあるんです。この人たち、結局は結ばれるんでしょ、で、結婚してそこから長い時間を過ごしてるはずなのに、語るのはなぜ会った時のことだけなの?
- 三村
死んだ後だからねぇ。
- 諏訪
大人だったら、長年いっしょにやってきたよね、ということの方が大事な気がするけどなあ。
- 三村
ひょっとしたら嫌なことがいっぱい溜まってたのかもしれないし(笑)。結婚なんて。
- 神田
リアルだなあ(笑)。まあこれは典型的な昭和の少年もの、日本版「スタンド・バイ・ミー」みたいな感じですよね。
- 町口
でも1960年代の日本の風俗は本当によく描写できていると思いますよ。ダイハツ・ミゼットとか、その頃がわかる人には、ああ懐かしいなあと。セピア色というか。
- 横須賀
うまさはある人です。面白いし。
- 三村
車のところ、いいよねえ。
- 神田
車が来て喜ぶとか、すごく男の子っぽい。冷蔵庫があっという間に直っちゃうところとかも、ギャグとしては面白いんだけれど。ラブストーリーとしては弱い。この人も自分の持ち物で勝負しちゃって、そこにラブを絡めただけという。力がある人だけに残念。
- 岡部
たくさんじゃなくてもいいから、少しだけでも現在のことが書いてあると昔のことが活きたかな、と思います。
- 横須賀
もう一つ、難点をいうとテネシーワルツが活きていない。
- 三村
近所のオヤジがレコードをかけていただけという。
- 彌永
私も、先ほどのお話にあったように、これはまさに「スタンド・バイ・ミー」だと思いました。10作残す中には入れておきたいかな、と思った作品です。